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【資料】特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給等に関する法律案(仮称)要綱(案)(2020年10月27日空襲議連総会了承)および全国空襲連のアピール(2020年11月2日)

2020年10月27日午前10時より、衆議院第二議員会館第8会議室にて超党派「空襲議連」の総会が開催され、以下の要綱案が承認されました。
また、全国空襲連は要綱案に対するアピールを11月2日に発表しましたので、併せてご紹介します。




特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給等に関する法律案(仮称)要綱(案)


令和2(2020)年10月27日空襲議連総会了承   

第一 前文
 戦後七十五年を迎えるに当たり、空襲等により心身に障害や傷跡が残り、長年にわたり多大な苦痛を受けている方々に対し、国としてその労苦に報いる等のため、この法律を制定する。

第二 総則
一 趣旨
 この法律は、特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給及び空襲等による被害の実態調査等に関し必要な事項を定めること。

二 定義
1 この法律において「空襲等」とは、昭和十六年十二月八日から昭和二十年九月七日までの間に本邦の地域において行われた空襲、船舶からの砲撃その他の政令 で定める戦闘行為をいうこと。
2 この法律において「特定戦災障害者等」とは、次の者であって、この法律の施 行の日において生存しているものをいうこと。
① 空襲等のため負傷し、これにより身体障害者福祉法の別表に掲げる身体上の障害がある者
② 空襲等のため負傷し、これにより外貌に著しい醜状を残す者
③ 空襲等のため心理的外傷その他の心身の健康に対する影蓉を受け、これにより精神疾患を有する者

第三 特別給付金の支給
一 特別給付金の支給
1 国は、特定戦災障害者等に対し、特別給付金を支給すること。
2 特別給付金の額は、五十万円とすること。

二 特別給付金に係る認定等
1 厚生労働大臣は、特別給付金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該 支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、特別給付金を支給すること。
2 1の特別給付金の支給の請求(以下「請求」という。)は、当該請求をする者の居住地を管轄する都道府県知事を経由してすることができること。
3 請求は、施行日から起算して三年を経過したときは、することができないこと。
4 特定戦災障害者等が請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき特別給付金でその支払を受けなかったものがあるときは、その特別給付金は、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の 死亡の当時その者と生計を同じくしていたものに支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給すること。

三 特別給付金の支給を受けることができない者
 特別給付金は、次の給付を受けることができる者又は受けた者がある場合には、支給しないこと。
① 恩給法その他の恩給に関する法令の規定による年金たる給付
② 戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定(他の法律により準用する場合を含む。) による給付
③ 特定弔慰金等の支給の実施に関する法律の規定による給付
④ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定による給付
⑤ 平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律の規定による給付
⑥ その他政令で定める給付

四 請求書の提出等
1 請求をしようとする者は、厚生労働大臣(当該請求が都道府県知事を経由してされる場合にあっては、当該都道府県知事)に、次の事項を記載した請求書を提出しなければならないこと。
① 請求をする者の氏名及び住所又は居所
② 請求に係る空襲等を受けた所在地及び年月日
③ 請求に係る空襲等を受けるに至った経緯
④ その他厚生労働省令で定める事項
2 都道府県知事は、請求書の提出を受けたときは、その都道府県の保有する文書にその請求に係る情報が記録されているかどうかについて調査等を行い、その結果を厚生労働大臣に報告すること。

五 請求に係る審査
1 厚生労働大臣は、請求を受けたときは、当該請求の内容を特定戦災障害者等認定審査会〔仮称〕に通知し、審査を求めなければならないこと。
2 特定戦災障害者等認定審査会は、請求者が第二の二の2 の①から③までに該当するかどうかについて審査を行い、その結果を厚生労働大臣に通知しなければならないこと。

六 その他
1 国及び地方公共団体は、特定戦災障害者等に対し特別給付金の支給手続等について十分かつ速やかに周知するための措置を適切に講ずること。
2 国及び都道府県は、特別給付金の支給を受けようとする者に対する相談支援その他請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずること。
3 租税その他の公課は、特別給付金を標準として課することができないこと。
4 その他必要な規定を置くこと。

第四 特定戦災障害者等認定審査会
一 設置
 厚生労働省に、特定戦災障害者等認定審査会(以下「審査会」という。)を置くこと。
二 組織
1 審査会は、七人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織すること。
2 委員は、医療、空襲等に係る歴史、障害者福祉等に関して優れた識見を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命すること。

第五 空襲等による被害に関する実態調査等
 政府は、空襲等による被害に関する実態調査及び空襲等により死亡した者に対する追悼の意を表す施設の設置を行うこと。

第六 その他
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行すること。

二 事務の委託
 厚生労働大臣は、特別給付金の支払に関する事務を独立行政法人福祉医療機構に委託することができること。

三 その他
 厚生労働省設置法の改正等所要の規定を整備すること。


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「特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給等に関する法律案(仮称)」を受けた全国空襲連のアピール

 

戦後75年の2020年中に民間戦争被害者救済法の成立を

 戦後75年を経た現在まで、太平洋戦争において、空襲や艦砲射撃あるいは沖縄地上戦により被害を受けた一般戦災者については、法律による何らの救済がなされていません。国の戦争行為による被害であり、国は補償措置を行う責務があります。軍人・軍属等に限定された援護法が制定されていながら一般戦災者に対する措置がないことは、法の下の平等にも反します。 

 超党派空襲議員連盟(河村建夫会長)は臨時国会開会翌日の2020年10月27日に総会を開催し、「特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給等に関する法律案(仮称)」を承認しました。法律案は、①前文の冒頭に「戦後七十五年を迎えるに当たり」と明記して2020年中の制定の決意を示したこと、②民間空襲被害者と沖縄地上戦被害者を救済の対象にしたこと、③特別給付金の支給対象を身体障害者、ケロイドの被害者、PTSD被害者としたこと、④厚生労働省に認定審査会を設置し、委員に医療、空襲等に係る歴史、障害者福祉の専門家を任命するとしたこと、⑤国と地方公共団体に支給手続き等について周知義務を課したこと、⑥空襲等による被害に関する実態調査と空襲等により死亡した方への追悼を表す施設を設置することを明記したこと、⑦国籍条項がないことなど民間戦争被害者の気持ちに寄り添う内容であり全面的に賛成です。

 民間戦争被害者は高齢化しており、もう待ったなしの状態です。戦後75年間置き去りにしてきた民間戦争被害者が求めている課題を今臨時国会で解決し、国民の信頼に応えることが出来ますよう強く期待いたしております。
 法律案の前文の冒頭に「戦後七十五年を迎えるに当たり」とありますように、戦後75年に当たる2020年の今年中に是非とも各党での党内合意を迅速に進めて今臨時国会の会期中に議員立法として成立させていただきたく切に求めます。

 私どもは、今臨時国会での成立のために、国会議員・各党各会派、市民・国民の皆様やメディアに理解をしていただくための最大の努力をする決意です。
国民・市民の皆様には、ご理解とご支援をよろしくおねがいをいたします。

 2020年11月2日                                              
全国空襲被害者連絡協議会
 共同代表  早乙女勝元  中山武敏 吉田由美子 前田哲男 宇都宮健児 斎藤貴男

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