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全国空襲被害者連絡協議会・緊急アピール「臨時国会で空襲被害者救済法の制定を」(2020年10月19日発表)

 2020年10月19日、「全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)」「民間戦争被害の補償を実現する沖縄県民の会」「韓国・朝鮮元BC級戦犯者「同進会」&「同進会」を応援する会」「シベリア抑留者支援・記録センター」の4団体は、「臨時国会で残された戦後処理問題の審議と解決を求める共同記者会見」を衆議院第二議員会館で開催しました。

以下に、当日発表された全国空襲連の緊急アピールと、4団体共同の訴えをご紹介します。


全国空襲被害者連絡協議会・緊急アピール

臨時国会で空襲被害者救済法の制定を

「本当の戦後を迎えたい」(空襲被害者)

 さる6月17日の通常国会最終日に全国空襲連が行った緊急記者会見で、空襲連共同代表で空襲のため両親と妹を亡くし孤児となった吉田由美子さんは、国会に救済法案が提出されなかったことに失望、「今年は戦後75年の節目です。あの日から空襲被害者は国から一度も補償を受けることはありませんでした。国会議員のおひとりおひとりには、立法府の一員としての役目を全うしてくださることを願っています。私たちは本当の戦後を迎えたいのです。私たちにはもう時間がありません」と訴えました。

 そして、8月15日の終戦の日にNHKが放映したドキュメンタリ―番組「忘れられた戦後補償」で空襲連の前運営委員長、安野輝子さんら空襲で重い障がいを負った人々の姿が映され、前大戦の空襲被害者が国から放置されいまだに全く救済されていない実情を多くの国民が知るところとなり、大きな衝撃と反響を巻き起こしました。


「国の意思として慰藉の気持ちを形に」(河村建夫超党派空襲議連会長)

 空襲被害者救済法(仮称)の制定を目指す超党派空襲議員連盟は9月8日、マスコミの戦後75年報道の後押しもあって、国会閉会中にもかかわらず、急遽、総会を開きました。  

 河村建夫会長は「戦後75年の総決算の課題として、救済法案はどうなっているのか、という問い合わせが各方面からありました。要綱素案の段階で公明党の高木副会長より障がい者の中に精神的障がい者も含めるべきとの意見があり、条文の「民間戦災障害者等」の「等」の中に「心的外傷その他の心身の健康に対する影響を受け、これにより精神疾患を有する者」という言葉を追加して、新要綱素案を作成した。9月2日付の朝日新聞社説も取り上げたように、空襲等民間戦災障がい者等の救済は立法府が解決すべき問題である。この新要綱素案を各党に持ち帰り、それぞれで協議したうえ議連総会で確定し、国会に諮りたい。受忍論によるのではなく、国の意思として慰藉(いしゃ)の気持ちを形に表したいと思う」との決意表明がありました。


今国会での救済法案の実現を!

 全国空襲連は、戦後75年の最後となる今臨時国会でなんとしても空襲救済法を実現するため、議連のさらなる努力に期待するとともに、新要綱素案を衆参の全議員に配布して法案への賛同を働きかける運動を進めています。さらに日米開戦から80年になる12月8日には、救済法案の動向を見ながら、総決起集会も予定しています。


今こそ戦後の後始末を!

 新型コロナウイルスの収束が見通せない状況で、多くの国民が将来に不安を抱えています。そのようなときだからこそ政府と国会には、戦後75年置き去りにしてきた私たち空襲被害者など4団体が求めている戦後処理の問題を国会で解決し、国民の信頼に応えるよう強く求めます。


「戦後75年」・臨時国会で残された戦後処理問題の審議と解決を求める共同の訴え


 「戦後75年」の夏、戦争の記憶を伝える貴重な記事や番組が拡散されました。75年経っても、現在にいたる傷や痛みが癒されていないことが報じられました。長く救済を求めて訴え続けてきた被害当事者の声も紹介されました。

 戦後処理に関わる未解決の問題が、なお残されていることに私たちは、強く注意を喚起し、すみやかな対応を訴えます。

 広島・長崎だけでなく、全国各地で米軍による空襲の犠牲となった民間人被害者の問題、空襲だけでなく地上戦や艦砲射撃の犠牲になった南洋諸島や沖縄の民間人被害者の問題、台湾や朝鮮半島から動員された外国籍の元BC級戦犯者の問題、戦後ソ連に抑留されて命を奪われ、強制労働をさせられた抑留被害者の問題、フィリピン残留日本人の国籍回復問題、などです。また、資料や記録の保存・展示、追悼・慰霊のあり方も問われています。

 ようやく10月26日から臨時国会が始まります。政権も代わりました。すでに対処する法律が制定されているもの、法律案ができていて国会提出が待たれているもの、現在法律案を準備中のもの、補償予算は要せず措置が必要なもの、と各々ケースは異なりますが、いずれも犠牲を強いられてきた当事者らは高齢に達し、早急な対応と解決を求めています。多くは裁判に訴えましたが、司法の場では解決できませんでした。残された道は、国会が動いて、解決に道筋をつけることしかありません。事態はひっ迫しています。

 臨時国会の会期は50日間とされ、提出予定法案も絞られていますが、新型コロナ対策や経済対策、豪雨被害対策などと併行して、戦後75年・国策で遂行された戦争によって犠牲を強いられ、戦後処理からも取り残されてきた被害者の救済を優先課題として取り上げて、議論し、解決の道筋をつけていただけるよう強く訴え、要請します。

 予算規模はずっと小さく、決断すればすぐに実現できる措置や取り組みです。緊急な取り組みの求められる人道・人権の問題としてすみやかに決着させて、国政は新型コロナや豪雨、気候変動などの地球的規模の問題に集中して取り組まれることを望みます。

 国会においては、未解決の戦後処理問題を関係委員会で議論し、準備されている法律案を成立させ、対策を急ぐべく党派を超えて協力いただけますよう強く訴えます。

 メディアや世論も関心を寄せて、問題解決に向けて協力していただけますよう訴えます。


                     2020年10月19日


全国空襲被害者連絡協議会

民間戦争被害の補償を実現する沖縄県民の会 

韓国・朝鮮元BC級戦犯者「同進会」&「同進会」を応援する会

シベリア抑留者支援・記録センター

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